映画『8月の家族たち』

ずっと見たかった『8月の家族たち』を見ました。

 

 

想像を超えて、すさまじい映画だった。

 

メリル・ストリープ老いた母親。父親、つまりその夫の失踪をきっかけに、3人の娘たちが集まる。

 

毒親、というレッテルを貼ってしまえば、毒親なのだろう。しかし、レッテルに至るまでの彼女の長い人生と、その半分ほどではあるかもしれないけれど、決して短くはない娘たち3人のそれぞれの人生がある。それぞれに、どうしようもない事情があり、扱いきれない感情があり、必死に駆使する理性と良識があり、ああもう、人生って…という気分をこれでもか、と味わいました。

 

人生って、当たり前かもしれないけれど、生きた分しか味わえない。10歳には10年分の人生しかわからないし、20歳には20年分の人生しかわからないし、もうすぐ43歳になる私には43年分の人生しかわからない。多くの人が70年、80年ということは知っているし、子供が成人したり、孫が生まれたり、老いて病気になったり、ということが高い確率で起きることは分かっているのに、いざ、その時になってみないことには、その人生に対処できない。

 

こんなはずじゃなかったのに、と自分の人生にだって思うのだから、他人の人生に対してだって、どうしてこんなことになってしまったのだろう、と思うのは致し方ないことだと思う。それは、家族の人生でも、同じこと。

 

ままならないのが人生。そして、その人生は、とてもとても、長い。

 

だけど、今日は「映画は終わっていいなあ、私の人生は終わらないからしんどいなあ」とは、あまり思わなかった。

 

この頃やっと、自分の人生が続いていくことに慣れてきた。人生がなかなか終わらないということに、覚悟ができてきた。

 

この3年ほど、それまで思い描いていた人生から大きくそれすぎて、バランスをとるだけで必死だったのかもしれない。

 

なんだか、この道が普通に思えてきた。この道はこの道で、もちろん悪くないし、先を急ぐ必要もないし、逆に必要以上にゆっくり歩く必要もない。

 

たんたんと、歩んでいけばいいのだ。というか、歩んでいくしかないのだ。過去には戻れないのだから。時間は巻き戻せないのだから。

 

ユアン・マクレガーがかっこよかったです。14歳の娘役の女の子、どこかで見たけど誰だったかな。また今度調べよう。

 

おやすみなさい。