美容院に行きたい

信じられないことにまだ美容院に行けていないどころか、予約もできていませんが、まあ良い。人生にはそれより大切なものがあるということだ。しかし襟足がうっとおしいことよ。

 

昨日、友人に「うさぎさんの本当にやりたいことって何なの?」と聞かれて、はたと考え込んでしまった。私の本当にやりたいことって何だ? 美容院に行くことだよ。

 

今、窓の外に朝焼けが広がっていて、このグラデーションが本当に好きだ。本当に美しいと思う。

 

本当に、本当に、って語彙の貧相さに泣きたくなるな。

 

本当って何だ。本当のことが正しいのか。本当のことって、本当のものなのか。

 

そのとき、その瞬間の本当が、時間がたって覆されることなんていくらでもある。卑近すぎて申し訳ないが、結婚式を挙げたときの私は、心の底から夫と一生を共にしたいと思っていたよ。ほんのひとかけらの疑いもなく。

 

今の私は、ひとりでいるときの自分がいちばん好きだ。愛しい人のことを考えて涙を流したり、好きなだけ鼻をほじったり、めちゃめちゃみっともない体操をしてみたり、コツコツと仕事に打ち込んだり。全部が、ありのままの私で、そのままの自分のことを、心から愛すべき人間だなあと思う。それはまごうことなき本当の自分で、本当のことだと思う。

 

誰かの前で、にこやかに明るく、ときには自信たっぷりにふるまったり、偉そうに相手を励ましたりするのは、嘘ではないけれど、やっぱり相手のための自分という気がする。そういう私を、私だと思って一緒にいたいと思ってもらえるのは、とてもありがたいことなのだけれど。

 

こうして書いている間に、空のオレンジが少なく、白の面積が広がってきました。心穏やかにこの景色を見ていられるだけで、なんと幸せなことよ。

 

しかし、それにしてもそろそろ美容院に行きたいのであった…。