どす黒い言葉が出てきた

他人の気持ちは理解できないものだけれど、なんとかして理解したいと思ってしまう心理はいかんともしがたい。完全な理解はできないけれど、解釈をしないことには、相手との距離感も関係も進展させることもできなければ収束させることもできないので、なんとかして理解、あるいは解釈をしなければ始まらない。

 

私はわりと、人の気持ちを読むことが得意なんだと思うけれど、その一方で、「本当はどう思ってるのか」というのを気にしないことも得意である。たとえば、会うたびに私のことをにらみつけてくる人とか、私が何かするたびに舌打ちする人がいたとして、その人はたぶん私のことを嫌っているとは思うけれど、たとえば仕事関係の人だとして、その人に私が「すみません、これどうしたらいいですかね?」ってにこやかに相談したときに、「〇〇しておいて」って言われたら、素直に〇〇するだけである。それが仕事上、筋が通ったことだとしたら。

 

「〇〇しておいて」という指示の裏に、「本当は私のことが嫌いだけど仕方がないから指示をしただけだろう」とか、「私に指示しておきながら本当は私のことを無能だと思ってるんだろう」とか、「言ってみたところでできるかどうか試しているんだろう」とか、そういう、余計なことは考えない。私のことを、面と向かって「僕はきみのことが嫌いだから」とか、「僕はきみのことを無能だと思ってるから」とでも言われない限り、「本当は私のことどう思ってるんだろう」とか、考えない。考えたって、仕方ないから。

 

逆に、私のことを信頼しているからこそ言っている冗談なんだろうな、ということがなんとなくわかっても、「きみだったらミスしそうだよね」とか、「またきみのところで仕事が止まってたの?」とか言われたら、ああ私は無能ですよね、すみませんね、この仕事やめますね、って辞める。実際、辞めたし。慌てて引きとめられたけど、知るか、もう遅いわ、って思った。

 

いや、今の話じゃないです、ずっと昔の話。

 

何が言いたいかって、私は言葉にできない気持ちもあることも知ってるけれど、言葉にできたほうが強いし、言葉には力があると思っているので、本当に私のことが嫌いだったら、面と向かって「おまえなんか嫌いだ」って言ってみろ、と思うという、そういう話です。言えないってことは、言ってはいけないことを考えてるってことでしょ、と。それはつまり、面と向かって「おまえなんか嫌いだ」って言ってしまったら、それはもう取り返しがつかなくて、言ってしまった方が負け、みたいなケースが多いんじゃないかと思うので。

 

なんだかよく分からないけれど、なんだかどす黒い言葉が出てきちゃいましたね。とほほ。