面白く書こうとするのをやめる

考えてみたら、自分のことだけバカ正直に書いていても、そもそもが大して面白くもない人生なのだから、面白いことなんて書けるわけがないのですよ。

 

ここで考えられる選択肢は2つ。1つは正直であることをやめる。もう1つは、面白いことを書こうとすることをやめる。

 

これは、私にとって、なかなか苦渋の決断です。なぜかというと、子どものころから、母親から「とにかく正直でありなさい」と育てられたからです。子どものころから、と、母親から、で、2回「から」が重なるのがどうにも気持ち悪いのですが、こういう場合、どういう風に文章を直したら良いのでしょうか。

 

とにもかくにも、ウソをつくのがどうにもダメなのです。ウソをつくことが、何よりも気持ち悪いのです。

 

今、起こってもいないことで悩んでいることがあるのですが、それは、もし、もう二度と二人で食事するのはイヤだと思っている人から食事に誘われたら、どう断ったらいいか、ということです。

 

正直でなければならないという自分の信念にしがたうなら、「あなたと食事に行っても何にも面白くないから、もう行きません」という返事を出すべきです。しかし、それはあまりにひどいということは、私にも分かります。

 

じゃあ、どうするべきか。

 

無視すれば良いのでしょうか。誘われるとしたら、たぶんメールです。電話がかかってくるということはないと思います。LINEとかメッセンジャーとかでやりとりをしたことはないので、メールだと思います。メールが来たのを、放っておけばいいのでしょうか。

 

が、返事をしないというのも、私にはなんとも「ウソ」の態度に思えるのです。自分の言動に、「(1)本当/(2)本当でもなければウソでもない/(3)ちょっとしたウソ/(4)完全なウソ」というグラデーションがあるとしたら、私は、自分に許せるのは(1)だけなのです。メールが来たところで放っておくというのは、(2)に相当します。ウソをつく必要もないけれど、それでは本当を貫いたとは言えない、みたいな。

 

いやしかし、こうして書きだしてみて、思いました。(2)で逃げるくらいなら、(4)で自分が悪者になってしまった方が、むしろ罪悪感が少ないな、と。なんとなく、いざとなったら(4)の選択肢をとるような気がします。と書いたところで、面白い(4)の見本が何にも思い浮かびません。

 

そもそも、正直であることをやるか、あるいは面白いことを書こうとするのをやめるか、の話でした。面白いことを書こうとするのをやめるというのは、もしかしたらとっくに選択している話かもしれませんでした。だって、面白いこと書けないもん。