映画『さよなら、アドルフ』

またDVDを借りてきて見ました。

 

さよなら、アドルフ [DVD]

さよなら、アドルフ [DVD]

 

 

1時間45分というそれほど長くない映画でしたが、映画の間中ずっと、ずっと、緊張していました。

 

18歳くらいの長女、14歳くらいの次女、8歳くらいの双子の男の子、赤ちゃんの男の子、という5人の子供が、戦犯となってしまった両親の家を出て、祖母の家を目指すというストーリー。

 

時代としても映像としても残酷で、でも、私が何より残酷だと思ったのは、子供たちの心理への影響。子供は何も悪くないのに、大人の世界の規範がひっくり返ったとばっちりで、食べるのも苦労するようなつらい旅をしなくてはならなくなる。そのものすごくつらい旅の間、この子たちの生命はどうなってしまうんだろう、というのと同時に、この子たちの心理は大丈夫だろうか、こんなつらい事態に耐えられるんだろうか、という意味で、ずっと緊張していました。

 

とはいえ、次女以下の子供たちは、まだ完全な子供でいられる。長女のローレは、大人の役割をせざるをえない。何もかもを分かっているからこそ、苦しい。受け入れなければいけないこと、受け入れたくないこと、受け入れるべきこと、受け入れるべきではないこと、すべてを分かった上で、自分で選択しなければいけない。その選択が、残酷。

 

若いというのは、苦しいものだな、と思います。自分の過去を思い返してみても、若いときというのは、自意識と環境と無力さと生命力がぐちゃぐちゃになって、苦しかった。

 

映画の原題は長女の名前のローレで、戦争の悲惨さや時代の描写というところも大きい映画だけれど、思春期の心と体の強さと儚さが、とてもよく表現されていると思いました。

 

うちの子供たち、今はまだ全員、この映画の次女より下の年齢ばかり。この先、ローレのような苦しい時期を抜けていくのかと思うと、その残酷さに胸が痛い。

 

子供たちが、無事にその時期を生き延びてくれますように。若さに耐えられるだけの心理的な強さを、この後数年で、身につけてくれますように。