とめどもない思い

忘年会特集で、電車内に貼られた居酒屋のポスターを見ていたら、長男が乳児だったころを思い出した。私は、子供が8ヶ月のときから復職していて、保育園と仕事との両立生活が長かった。

 

子供を産むまで、残業でも飲み会でも習い事でも好き放題できていた私が、365日、絶対に、必ず、夜を子供と過ごさなければいけないのは、かなりの苦痛だった。苦痛だったけれど、自分を責めていた。それを苦痛に思う自分は、母親失格だと。

 

せめて息抜きしたくて、食事の用意もできないくらい疲れていたことも多くて、小さな小さな息子を連れて、居酒屋へよく行った。母親としてどんな気分だったか、あまり覚えていない。幼い息子を一緒に連れて、息抜きになるはずなんてないのに、息抜きがしたくて居酒屋に行く、という矛盾したことをしていた。息子がお皿を割って、とても申し訳ない思いをしたことを覚えている。

 

どうしようもないあの時期を、よく乗り越えたなあ、と思う。乗り越えたというにはおこがましく、とにかく時が過ぎ去っていったという、それだけのことかもしれないけれど。

 

長男はもうすぐ私の背に追いつきそうで、たぶんまだしばらくは、居酒屋に誘ってもついてきてくれないだろう。だいたい「乳児」と「未成年」は、居酒屋にいることの意味がまるで違うのだし。

 

娘も次男も、それぞれに特別だけれど、長男は私が初めての子育てをしたという意味で、特別な息子だ。私が抱くこの思いを、彼が理解する日は来るのだろうか。