卓球を題材にした文学作品を読みました
夏からずーっと読みかけだった、
を読み終わりました。
決して読みにくい作品ではないのだけど、えらく時間がかかってしまった。疾走感あふれる文体で、本当はもっと一気に読んだ方が楽しめたのかな、と思う。
すさまじいいじめに遭っている中学生、「釘」の一人称で語られる不思議な物語。釘のように殴られ、どうして生きているんだろう、というよりは、なんで殺してくれないの、と思うような日々の中、「釘」は同じくいじめを受けている「モアイ」と、原っぱにある卓球台を見つける。
卓球に打ち込むことで救われる、なんて生ぬるい展開にはならない。摩訶不思議な人物(人?でさえないかも)が次々と現れて、最後には、人類のインストールとアンインストールをかけて、卓球界での勝負を余儀なくされる二人。
あらすじをまとめることも難しい文学作品。「物語」とか「小説」という言葉で表すことに違和感があって、それはなぜかというと、文体が詩のようだから。改行や、挿入、フォントの変更(字のサイズがところどころ変わる)、それになんといっても、リズム感。理不尽なことに対抗するための手段としてのラップみたいな、そんなイメージの小説。(って、解説をつけると、小説、と言えるかなあ。)
釘とモアイが理不尽ないじめを受けているように、世の中には理不尽なことがものすごく多くて、弱き者はいつも強き者に虐げられていて、それでもかろうじて、考えることや意見を持つことをやめずにいることで、永遠に勝負のつかないラリーが続いている。もう、投げ出したいような、気の遠くなるような卓球のラリー。英雄が現れては消えていく、永遠のジュース。
日本だけ見ていると、政治とか社会とか経済とか、ほんとうんざりするけれど、韓国も、なかなかどうして、苦しそう。解説にあるいじめの状況を読むと、胸が痛いです。
いじめを扱った小説といえば、
も、なかなかにすごい小説でした。
あと、ピンポンって検索したら、
が出てきて、こちらもめっちゃ好きです。ARATAさん、カッコいい~。