私の両親は頭がいい

私は、決して頭悪くないです。卒業した高校の名前と「偏差値」で検索すると73と出てくるし、出身大学・学科の名前と「偏差値」で検索すると69と出てくる。

 

あらためて書くと、すごいな私! めちゃめちゃ頭いいやんけ!!

 

なんだけど、いつだったか誰からだったか、「さぞかしご両親は鼻が高いでしょうね」みたいなことを言われたとき、うーん、と考えこんでしまった。

 

なぜなら、それこそ父親はとんでもなく頭のいい人だからだ。

 

子供ころから、父さんは頭がいいと思っていて、母親に「お父さんって頭がいいよね」と言ったら、「あの人は東大でも行けたと思うよ」と言われたことを覚えている。両親は、同じ高専の同級生なのだ。父親は家庭の事情で大学に行けず、母親は当時、女性にしてはめちゃめちゃ珍しく高校ではなく高専に進んだ。そんなカップル。

 

そして、私は母親のことも頭がいいと思っていた。「さぞかしご両親は鼻が高いでしょうね」と言われて、考え込んでしまうまでは。

 

というのは、私は上のように言われた話を母親にしたのだ。私は、「…なんて言われたけど、父さんも母さんも、別に私のこと頭いいと思ってないよねえ? むしろ、なんで私たちみたいなカップルからこんな娘が生まれちゃったんだろうと思ってるよねえ?」と、卑屈になるわけではなく、ものすごく素直に、正直な予想を口にした。すると母親は、「あはは、確かに父さんは頭いいけど、私はそこまで頭よくないから、うさぎのこと、頭のいい子だなと思ってるよ」と言った。

 

そうだったのか。ふーん。

 

そのとき私は、母親が私が思っていたほど頭がいいわけではない、ということと、父親はともかく、母親は私のことを頭がいいと思ってくれている、ということを知ったのだ。

 

これ、いつごろのことだったのかなあ?

 

両親のことを思い出すとき、それはほとんどがいい思い出だけなのだけど、いざ思い返してみると、それがいつごろの話だったのか、全然思い出せない。たぶん、42年分の思い出を、ぜんぶごちゃまぜにして、自分に都合のいいようにつなげて解釈している気がする。

 

あ、ってことは、「ほとんどがいい思い出」っていうのも、たぶん事実ではなくて、私の脳がそういう風に編集してるんだわ、きっと。

 

こんな幸せな娘に育ったことは、「さぞかしご両親は安心してらっしゃるでしょうね」と、私も思います。うふふ。