映画『ベストセラー』

1日かけて、途切れ途切れで見た1本。

 

 

私はこの、コリン・ファースが好きですね。『英国王のスピーチ』がめっちゃ良かったので。

 

 

英国王のスピーチ スタンダード・エディション [DVD]

英国王のスピーチ スタンダード・エディション [DVD]

 

 

『ベストセラー』のコリン・ファースは編集者マックスの役です。若い天才作家であるトマス・ウルフにジュード・ロウ

 

作家と編集者、という関係。私は文学関係の書籍を編集したことはありませんが、編集者として10年以上働いていたので、その力関係というか、仕事のやりとりの実際みたいなところは実体験に照らしながら見ることができました。

 

ヘミングウェイフィッツジェラルドといった作家も登場して、その描かれ方を見て思ったのは、作家というのは芸術家であるということ。それに対して編集者は職人であったり、もっと言ってしまえば、会社員であって、作品を“売れる”書籍にすることが最大の目的である。それによって雇われているのだし、それによって家族を養っているのだから、そこは…えーと、「仕方のないこと」と「絶対に曲げられないこと」のどちらを書いたらいいのか迷ってしまい、どちらでもある、としか書きようがなくて、つまりそれが生業というものなのかなあ、と。

 

原題は“GENIUS”(天才)。この“天才”を指すのがトマスなのかマックスなのか、考えさせるところにこのタイトルの妙があると思う。トマスは確かに天才だったかもしれないけれど、マックスの腕がなかったら、世に知られる作家とはなりえなかった。

 

でも、2段落前に書いたことに戻るけど、社員としての編集者って、物語の校正能力とか文章の添削能力とかよりも、著者との関係を良好に保つことが何よりの大切な仕事、ということを、あらためて思った。フィッツジェラルドの生活を支えたりとか、ヘミングウェイの釣りに付き合ったりとか。そういうことがある上での信頼関係だし、信頼関係がないと作品を任せてもらうことはできないのだし。

 

編集の仕事をまたやりたくなったかと言うと、やってもいいかな、という感じ。自分にできそうだという感覚もある。もしかしたら、またやるかも。どうかな。

 

おやすみなさい。