書店の店頭で考えたこと
人と会うのに書店で待ち合わせをした。相手が来るまでの間、いちばん分かりやすいところにいようと思って、入り口のベストセラーがずらっと並んでいるところに立っていた。
お手軽な本が並んでいる、という印象。ネットの記事などでタイトルを見かけたりしていた本が何冊かあったけれど、おすすめされていた記事で想像していたイメージより、実際の本の方が、コンパクトで手軽な作りがしてある、と思った。
本が売れない、という。売れないわりには、ものすごく多くの本が並んでいる。きっと、次から次へと新しい本が出てきては消えていくのだろう。
ファストフード、ファストファッション、そして、ファストブック。本は昔から「雑誌」というジャンルで、どんどん読んでは捨てられる、常に新しいものが提供される、という形式があったから、それと区別されて、雑誌でない書籍は長く読まれるもの、崇高なもの、というイメージがあったけれど、たぶん、そのモデルはそのうち崩壊するのだろう。雑誌が売れなくなっているのではなくて、すべての書籍が雑誌化しているのだ。
ファッションでも、よく売れるモデルがすぐに生産を増やされて店頭に並ぶ数が増えるように、書籍も、売れるとなったら増刷されて、そのサイクルが収益になる、という構図。売り切る覚悟と、売れたらラッキー、で計算すればよいのか?
書籍の文化を私が担う必要もあるまい。どんどん読んで、どんどん捨てたらいいのだな、きっと。本も。
1年ほど前、早朝のブックオフで、大量の書籍が専用の廃棄物収集車の中に放り込まれていくのを目撃した。リサイクルできない本は、どうしたって廃棄されていく運命なのだろう。
人が、何にお金を使うかを考えている。自分が、どうやってお金を稼いでいくかを考えている。自分が、お金を何に使うかを考えている。
かなりのことがお金を使わずにできるようになってしまっている今、私たちはこれからどうやって生活を回していったらいいのだろう。