映画『ガープの世界』

借りてきたDVDで、映画『ガープの世界』を見ました。

 

ガープの世界 [DVD]

ガープの世界 [DVD]

 

 

不思議な映画…。

 

不思議な母親に育てられたガープの、不思議な家族の物語…かと思ったけど、ガープの家族は、不思議ではないかも。学生時代からあこがれていたヘレンと結ばれ、飛行機の落ちた家を「飛行機が同じ場所に落ちる可能性は限りなくゼロに近い」と買うことを決め、子供2人に恵まれて、ヘレンは大学教授に、ガープはときどき小説を書きながら、マイホームパパになる。ヘレンが過ちを犯し、子供を一人事故でなくし、二人はすれ違いの時を経て和解して、女性解放運動家となった母親は銃で撃たれる。

 

女手一つでガープを育てる母親は強く、迷いがない。一方、いかにも幸せな4人家族のガープの家庭には、誘惑や嫉妬、不安、悩みがじわじわ、もやもやと漂っている。

 

ああ、そうか、だから『ガープの世界』なのか。原題は、The world according to Garp。自分の世界というのは、自分にしかわからない迷いや悩みがある。他人の世界の悩みは見えない。見えないから、自分以外の人は、強く、迷いのない世界に生きているように見える。

 

海辺で子供を遊ばせるガープ。夕食を取り分けるヘレン。1つの部屋ですやすやと眠る子供たち。

 

いかにも幸せそうに描かれる家族の姿に、私はやっぱり傷つく。私はこの風景を築くことができなかった、と。

 

だからといって、私や、私の子供たちが幸せじゃないかというと、それも違って、典型的な風景として描かれることはないかもしれないけれど、きっと、私も、私の子供たちも、幸せだ。

 

と、常に自分との比較でしか映画を鑑賞できないのもなんだかちょっと寂しい。

 

不思議で、面白く、人生のことを知ることのできる映画だった。このタイミングで見ることができてよかった。

 

映画は、2時間だけ、他のだれかの人生を生きることができる。1日のうちの2時間は、12分の1。決して短い時間ではない。贅沢な時間だ。

 

おやすみなさい。