映画『幼な子われらに生まれ』

『幼な子われらに生まれ』、映画になったのかー。

重松清さんの原作、20代で読んだ。独身で。夫と付き合ってもいなかった。

 

「家族」とか「夫婦」とか「親子」について、強烈なインパクトを私に残した小説で、ずっと覚えていた。私の家族観に、少なからぬ影響を与えている物語。

 

忘れていたわけではない。自分の夫婦関係が破綻したときも、この小説のことは頭の片隅にあった。小説の登場人物と自分の、同じところと、違うところと、それぞれを自覚して、自分は自分のリアルな選択をして、ここまで来た。

 

小説で強烈に覚えているのは、主人公(男性)が、妻の連れ子と、別れた妻のところに残してきた自分の娘を比べて、客観的、絶対的に、残してきた自分と血のつながった娘のほうがいい子だ、と考えるところ。親バカというフィルターを取り除いてもなお、見た目がよく、成績が優秀で、友達の多い娘に育った、元妻との間に生まれた自分の子。

 

「それでも私は、今の家族のこの女児を愛さなければいけないのか」と主人公は葛藤する。家族って、そうすべきものなのか、と。

 

映画でどんな風に描かれているのか分からない。小説も、もしかしたら私の記憶とは違っているかもしれない。

 

そして、私の出す結論や、私の選ぶ家族のあり方、そして、この先、私が出会うかもしれないパートナーは、たぶん、映画とも小説とも違う。同じ部分や似た部分があるとしても、絶対的に違う。

 

それは、私にしか生きることのできない人生だから。自分で引き受けようと選ぶ人生だから。